猫画家への歩み⑥

作品


ここまで猫の立ち姿を描き続けてきましたが、
この頃になると「今までと違った絵を描きたい」と思い始めていました。
前作でロシアンブルーの「格好良さ」や「美しさ」をテーマにしたので、
次作では「可愛さ」をテーマに写真を漁っていました。

そこで見つけたのが今回の構図です。
以前描いたマンチカンと同じ子です。
幸せそうな寝顔に惹かれ、
起こさないように慎重にシャッターを切ったのを覚えています。

柔らかい印象の絵にしたかったので、
背景をクリーム色に塗って全体的に暖色系でまとめました。
輪郭をぼかしたり、顔や前脚など前面に位置する部位以外は
コントラストを弱めたりと、
遠近感も意識しています。

しかし、出来ばえはいまひとつでした。
緻密な毛並みや写実的な瞳など、
自身が得意とする描き方を発揮することができませんでした。
あえて描き込みを減らした箇所は、物足りなく見えます。
構想の時点の想像図と完成図に大きな差異はないので、
そもそも出発時点で失敗だったのかもしれません。

「猫を描くのは楽しい」という気持ちに変わりはありませんが、
なかなか納得のいく作品が描けずにいました。
そんな中、気になる新聞記事を発見します。
「富士市展(美術部門) 作品募集」

「これだ!」と思いました。
自分の絵を変えるきっかけになるのではと、
応募を決意するまでに時間はかかりませんでした。

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